現代租税の理論と思想
によって 宮本 憲一
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現代租税の理論と思想 pdf無料ダウンロード - 内容紹介 現代税制を深く理解するために戦後から現在までの租税理論の思想や論議を,支出税の検討を中心に論じる。古典的支出税や,それ以前の支出・消費課税論の思想的起源に始まり,現代的支出税論争を経てマーリーズ報告に至るまでをたどり,支出税を批判的に検討。税制改革への示唆を与える。 内容(「BOOK」データベースより) 古典的支出税や、それ以前の支出・消費課税論の思想的起源に始まり、現代的支出税論争を経てマーリーズ報告に至るまでをたどる。 商品の説明をすべて表示する
現代租税の理論と思想の詳細
本のタイトル : 現代租税の理論と思想
作者 : 宮本 憲一
ISBN-10 : 464116424X
発売日 : 2014/4/25
カテゴリ : 本
ファイル名 : 現代租税の理論と思想.pdf
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本書は、主に支出税の理論的な発展を通して、(タイトルの通り)現代租税の理論と思想をまとめた本である。支出税とは、所得税とともに直接税のひとつの考え方であり、課税ベースは所得から貯蓄を引いて算出される。この税を実際に採用している国はないので、一瞬学問だけの世界かと思ってしまうが、所得税の対比として所得税の理論と思想やその限界を理解するのに非常に役立つ。なぜなら、支出税を採用している国がないのと同様に、純粋な(包括)所得税を採用している国はなく、住宅や年金・生命保険などの貯蓄に対する租税特別措置により、現実的に各国の税制は理想的な所得税と支出税のスペクトラムのどこか間にあるからである。この観点で、例えばブッシュ減税後のアメリカは支出税に近い結果となっている。包括的所得税と支出税の論点のひとつは、貯蓄をいつ課税するか(所得税で今課税するか、消費が行われる将来に課税するか)という問題である。経済学的には、貯蓄を促すことで経済成長につながるのでより効率的ということが主張されてきた。また、執行が包括的所得税に比べ容易であるということが支出税のメリットが主張される。一方、デメリットとして再配分に対する疑問が残る。しかし、実証研究が貯蓄の中立性に疑問を投げかけたり、支出税派は再配分を支出税のメリットしてあげたりする。そもそも支出税を採用している国がないのはも執行の観点から実効性に乏しいからである。結局、理論的に包括的所得税と支出税どちらが優れているのかは分からないのだが、議論の過程で所得税の現代的な問題の論点があぶりだされてくる。そもそも、問題が出てくるのは産業構造の変化やグローバル化など社会の動きを背景としている。最終的には、包括的所得税と支出税という範囲では解決にならず、2010年のマーリーズレビューというイギリスのシンクタンクの租税報告を題材に、9章では法人税を、10章では支出税と同じ消費課税である付加価値税を取り上げ、さらに統合的な租税システムが模索される。それでも、最終的にひとつの租税体系が提示されるわけではないのだが、公平性・キャピタルゲインの課税・二重課税・経済政策としての一面など様々な租税観を見るための道具が非常にコンパクトに納められ、個別税制に深入りする前の一冊として役に立つ。学生や社会人など問わず非常にお勧めの一冊。
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